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あれは、塾の夏期講習が終わろうかって頃だったと思う。 採点結果がボロボロで、この先大丈夫なのかとぐったりしていた俺に佐々木が言ったんだったろうか。 「キョン、気に病むことはないよ。そうだね、色即是空と言う言葉を知っているかい?」 「しきそくぜくう?」 夜の闇、行き交う車のライトを照り返すように佐々木の目が光る。 自転車を押す俺にあいつは言った。 「色即是空。まあこの場合は『全ての存在は単体ではなく、互いに依存しあって存在している』とでも考えてくれ」 顔を上げた俺に滔々と語る。どっかで聞いた覚えはあるんだが。 「仏教の言葉だよ。聞いた事くらいあるだろう?」 「そういやあるかもしれん」 俺はどこか違和感を感じたが、佐々木はいつもの調子で続けた。 塾帰りの夜の闇、どこか感覚が狂っているのか。 「例えば豊かな大地が植物を慈しみ、やがて朽ちた植物が大地を豊かにするように。誰もが誰かを支えているのさ。 キミも誰かを支えている、だからキミは決して無力じゃないよ。そして誰かがキミを支えている。だから気に病むことは無い」 それは佐々木らしくも無い、とても解りやすい平易な言葉。 「はん。俺なんかに支えられてる奴なんかいねえよ」 なんとなく反抗的な事を言ってやると、くすくすと笑われた。 「そうでもないさ。そうだね、例えばあの可愛らしい妹さんだってそうだろう?」 「そうか? まあ確かにあいつのストレス発散くらいの役には立ってるかもしれんけどな」 昔、泣き人形だった妹を思い出す。 「きっとご家族みんながそうさ。それに国木田くん、岡本さん、須藤に中河、クラスメートやクラス外にも仲間はいるよ。 もし彼らがキミの失敗を喜ぶような連中だとでも思っているなら訂正しておいた方がいい」 「だからって俺が受験に落ちたら、きっと総出で袋叩きだぜ」 夜の闇に、肩をすくめる姿が見えた。 佐々木らしくもない、とても解釈が簡単な言葉。 もしかしたら、こいつは俺を励まそうとしているのじゃないだろうか。 それでもひどく遠回りではあるけれど、こいつが誰より遠回りで小難しい奴である事はとっくに先刻承知の上だ。 まったく面倒くさい奴を友達に持ってしまったもんだと改めて思う。 「なあ佐々木」 「それに、僕もね」 言葉を遮るように佐々木がポンと俺の肩を叩くと、ちょうど来ていたバスの扉が開いた。 ちゃんとタイミングを計って会話を組み立てていたらしい。 相変わらず無駄に聡いな。敵わねえ。 「じゃあまたね、キョン」 「おう、またな佐々木」 ひらひらと手を振り別れた、夏の気だるい夜の出来事。 しかし佐々木の言葉は、不純物が凍り落ちて澄み切った冬の空気のように、どこか心地良いものを俺に残していた。 さっき言えなかったことを呟く。どうせ対面じゃ言えないだろうしな。 「……ありがとよ」 『それに、僕もね』 ふと、いつかの夏の日を思い出す。 触れた手の感触、夏の夜気よりなお暖かいキミの体温を。 結局、僕はキョンに手のひら以外では触れなかった。それは僕が勝手に定めたルール。 『何より、誰より、キミは僕を支えてくれているよ。だから自分を卑下しないで』 だから飲み込んだホントの言葉。 いや、ホントはもっと告げたかった。 もし本当にあそこで寄り添い、キョンに本音を告げていたら、今、僕らはどうなっていたろうか。 けど物事にifはない。だから考えるだけ無駄だ。 いつからだろう。キミに好意を抱いたきっかけは特に思い出せない。 ただ、いつの言葉をひっくり返しても、そこには好意が潜んでいたように思えるのは、精神病のせいだろうか? いずれにせよ、それが自覚に至り、やがて否定に達した時点で、僕はまた一つルールを増やした。 彼に依存してしまわぬよう、思い出だけは増やさぬように。 僕と彼は友達だ。 誰とだってそうしてきたし、彼は誰よりもそれを受け入れてくれた。 そう、誰よりもそんな僕を受けて入れてくれたからかな? 逆に彼に惹かれてしまったのは。 だからあの九月のある日、あの「雨の日」に、彼に女と見られなかった事に、私は激しい衝撃を受けてしまった。 私は、本当は彼に女としてみてもらいたかったのだ。そう気付かされた。 やれやれだ。本当にやれやれだよ。 『恋愛なんて精神病だよ』 まさにその日にあんな事を言っておきながら、普段から「僕を女と見るな」「僕らは対等なんだ」と信号を発しておきながら。 なんて虫のいいことを考えるのだろうかと呆れたさ。だから改めて思った。 『僕は誰にも好かれようとすまい。好意を振舞うことはすまい』と。 あれは、僕を貫徹できなかった私への罰なのだ、と。 『ねえ、キョン』 僕は手のひらだけでキミに触れる。 それ以上は殆ど無い。僕らは自分の過去も夢も話し合ったりしないし、キミの自宅へも玄関以上へ入ったりはしない。 僕の自室どころか自宅に招くつもりもない、放課後一緒に遊びさえしない。休日デートなんてもっての他さ。 ましてや抱擁、キスなんてした事もない。 それが僕が定めたルール。 『どうも自覚がないようなので、この件は追求しない方がいいのかな?』 『佐々木、お前その理屈っぽいところを直せばモテると思うぞ』 僕とキミとは誰よりも仲が良かった。自惚れじゃなしに、きっと壁を壊せる余地はあったと思う。 キミの言うように「僕」さえどうにかすれば良かったのかもしれない。 けれど、キミと僕の道は別れてゆく。 あの雨の日を経て志望校を決定してしまった以上、進路を別ってしまった以上、もうそれは決定事項となってしまった。 だから止めた。だから大丈夫。「知らない」から大丈夫。キミとの関係はそれでよかった。 キミに包まれる心地良さも、キミに寄りかかる贅沢も僕は知らない。 知りたくないんだ。 もし知ってしまえば、失った時に耐えられなくなるだろうから。 だから僕は手のひらだけでキミに触れるのさ。 『さてキョン、いよいよ受験シーズン到来だよ』 『やれやれ』 先の見えない日々が近付いてくる。 いや、僕には見えている。 幸せな中学時代から、未知数な高校生活へ。 僕らは無力な子供だから、そこに言い知れぬ不安を持っている。新しい人間関係への不安、進学校という競争社会への不安。 けどきっとこれは受験生には珍しくない感情だ。まったくもって普通でありふれた感情だ。 だから恐れることは無い。そうさ僕には「夢」がある。遠い未来が見えている。 だから平気だ。いま怖いのは、たった一つの感情だけだ。 『さよなら、キョン』 『じゃあな、佐々木』 そして僕らの道は別れた。そして僕らは関係を断った。 怖くなんか無い。僕には夢が見えている……。 ……………………………… …………… 「……どしたん佐々木?」 「あ、ごめん。何か言った?」 高校。しとど降る雨を見ながら、私はぼんやり考える。 言葉の飾りをひとつひとつ剥ぎ取りながら、私の本当を考える。私はいつも言葉の飾りをまとっているから それから一年、彼と再会。 それから二週間、彼との冒険。 そしてまた、彼と離れて佇んでいる。 何度も何度も振り切ろうとして、それでもまだ佇んでいる。 つまるところ、僕が僕であろうとする程、僕が「僕であろう」と望むほどに彼が遠ざかる日々を過ごしながら。 僕は、そんなに「僕」でありたいのだろうか。 キミは僕が「僕でありたい」という望みを誰よりも知っていてくれた。 同じ目線を持ってくれる喜び。けれど、あなたが理解する程、私はあなたから遠ざかる。 だって「僕」というのは、異性相手でも平然とし、全く自分の弱みを見せない、強い理想の私だから。 僕の理想をあなたが知るほど、私はあなたから遠ざかる。 そして「僕」を好きだと言ってくれる異性の出現。僕の壁をスルーし、自分の好意で僕の壁を踏み越えようとする人。 僕がキョンにできなかった事を、僕に敢行してくる人。 僕が後悔した事を、僕に敢行してくる人。 再会したキミの傍らに、輝く太陽のような異性の存在を見た。 彼女と張り合おうとすれば、非日常に巻き込まれ「自覚を持つ神様」なんて分不相応な立ち位置を求められる。 彼女と張り合おうとすれば、否応なく解りやすい恋敵、横恋慕と捉えられ、きっと格下に過ぎない自分を再確認させられる。 僕が彼女に似ている? それはある意味当然だよ。だって僕は彼女のように超然としたかったのだから。 彼女は、私の憧れだったのだから。 彼女を彼がとても信頼していることは伝わってきた。 今、キミが得た絆を何よりも大切に思っていることは伝わってきた。 僕と僕らはただの紛い物。彼女と彼女らにとって代われるような代物ではない事を思い知らされた。 お前の未練は、彼には雑音、ノイズなんだ。 だから諦めてしまえ。 言葉の飾りが増えてゆく。 そうして「しなくていい」「出来ない」が増えて、自分が雁字搦めになる。 けれど雁字搦めに縛られて、ねじってよじって細く硬くしてゆく事で、ようやく通れる細い道もあるはずだから。 そうあろうと努めてきたから平気だ。こんな気持ちは今度こそ振り切ってみせる。 涼宮さんとお幸せに、そう言って立ち去ればいい。 さよならと彼に告げてやれ。 さあ そして、振り上げた手のひらを僕はまた見つめてしまう。 『それに、僕もね』 いつか触れた感触、夏の夜気よりなお暖かい彼の体温。 僕は手のひら以外では触れなかった。でもそんなルールなんて無駄だったとどこまでも思い知らされる。 だって、この手のひらが、彼の感触を覚えてしまっているのだから。 ただそれだけで幸せがリプレイされてしまうのだから。 あの春の事件。 何気なく向けた目線を理解してくれる彼、僕の為に怒ってくれる彼、僕の事を信じてくれる彼。 僕らの関係が何一つ変わっていなかったことが、少しだけ辛くて、そしてどこまでも幸せで仕方がなかったのだから。 『色即是空。空即是色』 また夏の日がフラッシュバックする。 あの時、僕は「誰もが依存しあっているのだよ」と彼に言った。 世界という存在が相互に依存しあい存在するのであれば、逆に言えば単体で存在するという事はないのだ。 単体であろうとするのは、無理があるのだ。 『僕がこの世に異議を唱えるような不満はあまりないんだ。率直に言って僕はあきらめている。 不条理な矛盾だらけの世界を作り上げたのは時の積み重ねだ。ちっぽけな誰かが作り変えられるものだと思わない』 もちろん、今でも『世界』という大きな世界は、僕如き小さな存在に動かせるものとは思っていない。 大地から草を一本引き抜いたところで、大地と植物のサイクルが変わらないように。 強固で大きな因果は、小さな存在など気にしないのだ。 僕はそんな強固で大きな存在になりたかった。理性に徹する事で、揺るがない強固な存在になりたいと思っていた。 けれど私という小さな世界は、そんなに強くも理性的でもないってとっくに知っていたんだよ。 僕は常に理性的でありたい、それは僕が情動的だという何よりの自覚なんだ。 だから、僕は先んじてキミを遠ざけてしまったんだろう? そして痛い程に知ってしまった。 たった一つの存在が欠けてしまっただけで、私の小さな世界は、こんなにセンチメンタルになってしまう。 ただキミと一緒に居られるだけで、私の世界は、あんなにも笑顔が止められなくなってしまう。 誰だか知らないが、鍵、だなんて本当に上手く言ったものだと思う。 たった一つしかない私の切り替えスイッチなのだから。 中学時代、僕が勝手に定義した「ただの友達」をどこまでも徹してくれたあなた。 一方的に言い募り、小難しく自己完結して振り切ろうとした僕に、あなたがくれた「同窓会」という再会の約束。 身勝手に「親友」と言い張った僕を、親友と呼んで送り出してくれた声。 私の身勝手な定義を、どこまでも受け入れてくれるあなた。 私に、仮面なんかじゃない笑顔をくれたあなたに。 私は誰より我侭だから、誰より人が良いあなたに寄りかかりたい。 私は誰より我侭だから、きっと仮面なんて保てない。傍に居たら演技なんかできない。きっと素直になってあなたに寄りかかる。 私は誰より我侭だと自覚してるから、あなたが居なくても平気な私を貫くんだ。 平気な私でいる内に、あなたを振り切って見せるんだ。 『判じ物なら間に合ってるぜ』 ふと、キョンの声が聞こえた気がした。 途端に判じ物、言葉のパズルの縛りが解ける。私のやりたい事、私が居たい場所、それは本当に相反するもの? 私がやりたい事はもう解ってる。私の存在する意義も、私の夢も、私はちゃんと思い出せた。 なら本当に私の居たい場所はどこ? 真っ先に浮かんだのは給食の時間。 キミに悪友が居ても、周囲に可愛い子が居ても、それでも二人でいた給食時間。 二人きりの自転車じゃない、周りにたくさん人が居て、それでもキミが一緒に居てくれたあの時間。 僕はキミのそばにいたい。 けれどキミは涼宮さんの傍に居たいと言った。 たった一年で、関係なんて容易に変わってしまうのだと思い知らされ、諦めようと思った。 けど、こんな事件なんて僕らの年頃なら正直どこにでもある事なんだ。 素直になれないのも、手に入らないものは要らないとシニカルに構えて逃げ出すことも、ありふれた出来事なんだ。 だって、僕らは世界に二人きりって訳じゃないのだから。 キミにも僕にも意思があるのだから。 たった一年でキミは変わってしまった………… けれど、変わってしまったものが、また変わらないなんて訳もない。変えられないなんて訳はないんだ。 涼宮さんはキミが惚れるくらいに素敵な人さ。そんな彼女だからこそ、僕だって挑むことが出来るんじゃないか? 彼女はただの少女として、キミの心を変えただけなのだから。 大事なのは、いつだって「やりたいこと」に目を見据え、変化してゆく事なんだよ。 そうさ、困難に挑んでこそ「僕」だろう? やりたい事を貫徹しよう。 私は一番そばがいいんだ。友達でも親友でも恋人でも家族でもいい。言葉の飾りなんて関係ない。 ただ、キミの一番そばにいたい。 ただそれだけなんだ。 ……………… ………… …… 「……佐々木、おーい、佐々木ってば!」 「くく、なんだい?」 「へ?」 そこは高校の教室。 すとんとパズルが嵌った嬉しさに、思わず「僕」で返す私。 彼女達が凍りつき、それから一斉に笑った。頬の火照りをごまかして、私は鉄の佐々木を演じる。 「んふふ、またドリーム?」 「ドリームって」 ひらひらと手を振ってみせる。 「まま、雨がわさわさ降ってて鬱陶しいしさ、今日もいつものとこ寄って帰らない?」 「あ、それよりあたしサーティーワンでアイス食べたいな。私学のくせに冷房ケチるとかどうよホント」 「多分アレよ、ウチが元男子校だからね。きっと発想が体育会系なんよ」 断言された。良い友人ではあるのだが、ノリが良すぎるのが玉に瑕。 「もう、全国模試が近いのに息抜きばかりはよくないわよ?」 「ふふん、息は抜かなきゃ吸えないじゃない!」 それを言うなら息を吐くでしょう。 まったく口の減らない人だ。 「困難に立ち向かうには、まずは息抜きが必要なのよ!」 「慌てない慌てないっ、一休み一休みってね!」 「はいはい」 私に息抜きなんかは必要ない。 けれど、個人で動かせない事態というのはどうやっても存在するのだ。例えば彼が非日常に嵌り込んでいる様に。 いま私が乗り込んでも、むやみに事態を引っ掻き回すだけであるように。 「けど糖分を取ったらちゃんと勉強が必要よ? 自分の成績は解ってるでしょ?」 「ぎゃー、もうそういう身も蓋もない事言うから佐々木さん大好きー」 机に突っ伏す彼女に、追い打ちのような突っ込みが入る。 「あんたさ、普通それって「嫌いー」になるんじゃないの?」 「えー。だって耳が痛い事言ってくれる人が誰か一人くらい居ないとマジでダラけるしー」 「あなたって、ホント向上心がないんだか有るんだか解らないわ……」 突っ伏した彼女のポニーテールを引っ張り呆れると、ニヤりと笑みが返ってきた。 何故か不敵に言い放つ。 「ふふん、わたしはわたしよ」 「くく、トートロジーでごまかしてもね」 そうさ、大事なのは自分の立場と能力をよく把握する事だね。 それが問題解決に繋がるのだから。 「向上心なかったらこんな学校居ないわよ。マジで」 「マジでマジで」 「はいはい」 だから今は把握し、そして努力に努めよう。 どのくらい、私が私であるのかどうか。涼宮さんに張り合うにはどのくらいの私になれば良いか。 彼に逢えない時間があっても、私に出来る事がない訳じゃないのだ。 もう彼と私は「友達」じゃないんだ。 僕と彼だって特別なんだ。 雨の中、下駄箱でパッと傘を差すと、校門に見慣れた傘が見えた。 「おお、佐々木の通い妻じゃん」 「誰が通い妻ですか」 ま、毎日来てくれているのは確かだけれど。 「や、ダディアナさん」 「橘です」 涙目でこっち見ないで橘さん。 「いきましょ橘さん」 ぽんと彼女の肩を叩いて歩き出す。 中学時代、いつも彼にそうしていたように。いつかの喫茶店で彼にそうしたように。 そうさ、歩いていこう。 もちろん後悔は山ほどある。 けれど中坊時代の後悔を、またまた後悔の原因につなげたような、後悔の無限ループはもう止めよう。 やりたいことに目を見据えて、やれるように自分を変えよう。人が科学を発展できるように、きっと私は私を発展できる。 今、キミと正反対へ歩いて行ったって、道はまた交差するさ。 だって地球は丸いのだしね。 絶対交差させてやる。 キミの代わりなんて求めてやらない。 わたしはわたし、キミはキミ、キミの代わりなんてどこにもいやしないのだから。 「色即是空、空即是色……」 「なんです佐々木さん?」 「般若心経?」 「ヴァージュラー?」 思わず漏らした呟きに、周囲がまたまた反応する。 しまったどう返すかなと思案するより、先に彼女から飛び出してきた言葉は 「ひゃー、また佐々木の厨二病が始まったぁ」 「その呼び方だけは止めて!」 止みかけの雨の下、カラフルな傘が交差した。 傘を握った手のひらが、いつか彼の肩に触れた感触を思い出したのか、燃える様に熱くなる。 そうさ私はひとりじゃない。けれど、それでも一番そばにいたい人も居るんだ。 それだけは譲れない私の本当。 だから 「あっはっは、諦めなよ」 「うんうん。もはや定着しちゃってる感があるものねー」 「いやいや止めて。それだけは止めて」 だから、私は諦めない。 ただシンプルに考えよう。そうさ、わたしはキミのそばにいたいのだ。 だって私の身体はあの心地良さを覚えているから。 また、あの場所にいたいと願うから。 キョン。キミの選択が物騒な物差しになるという事件がすべて終わったら また私は挑戦しようと思うんだ。なにせ、まだ青春時代は始まったばかりなのだからね。 くっくっく、ただ手を触れるだけの関係でも、結局、私はキミを忘れられなかった。 なら毒を喰らわば皿までだってね。 プランはとっくに決めている。 くくっ、今度こそ、キミに手のひらだけでなく、私の体温の全てを感じさせてやろうと企んでいるのさ。 ……だから。 私はまたそこに行くよ。 私がいつも、いつだって笑っていられた、あの心地良いキミの隣に、ね。 )終わり 「ぶぇっくしょん!」 「うわ何よ汚いわね!」 「おやおや」 「ハンカチ」 「温かいお茶淹れなおしますね」 「ありがとよ長門。すみません朝比奈さん。顔が近いぞ古泉」 「どうかしたの?」 「いや。なんか妙に暖かい寒気がした気がしてな」 )今度こそ終わり Part66-607「どうもキミと話している時は何だか笑っているような顔で固定されているようでね」
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竹の子族といえば1980年代に存在した集団のことであるが。 知らない人は自然消滅したかと思われるが、実際1985.03.04にちゃんと引退している。 その中のメンバーだった熊澤誠司(17)は引退式でこう語った。 熊澤誠司「将来のためにね、竹の子やってたことがさ、 すごい いいことだと思ってっから自分おおおお みんな今までどうもありがとね」 「はい拍手」 あれから29年か30年近く・・・ 昭和サウンドタイムトンネル階段と書かれた看板に従い進むと そこで踊っていた。その中に当時メンバーだった熊澤誠司はいた。 この時点で46歳。現在までか全日本・竹の子連盟総サブリーダーを務めている。 「当時と同じような気持ちで楽しんで歳をとっても楽しい青春子思い出が気持ちの中ではまだまだ続いていた」 確かに活動していた。 補加 竹の子族のメンバーを含む手段は「ホコ天ナイト」毎月第二土曜日 歌謡曲カフェLover`sで開催している祭に参加しているぞ。
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1 名前:風吹けば名無し[sage] 投稿日:2009/05/26(火) 00 48 01.42 ID qWT5tlyi (CNN) 米疾病対策センター(CDC)は全米各地でプール開きがある戦没将兵追悼記念日(メモリアル・デー)の週末に向け、プール内で「射精」しないようにとの注意を呼び掛けている。 しかし、最近の統計では大正義巨人軍の選手のうち17%が「プール内で射精したことある」と回答。大正義巨人のスター選手、巨人小笠原被告選手も、「経験ある」と応えていることがわかった。 CDCは、プール内に精子が入れば、膣や子宮口を刺激し、妊娠や子宮が精子の味を覚える現象(月野定規調べ)を誘発すると警告。保健衛生上の観点から、プール内で射精しないようにと注意している。 しかし、今年4─5月にかけて実施された調査では、WBCに参加した侍29人のうち、3人が「プール内で射精した」と回答した。 同調査で逝遅漏選手は「(ほぼ逝きかけただけで)逝ってない」と回答。巨人亀井は「(射精してはいけないとは)知らなかった」ととぼけ、巨人小笠原被告は「(しちゃ)いかんのか」と開き直りぐうの音も出ないほどの畜生振りを見せ付けた それに対し、大正義原監督は「ガッツの精子は濃いね。(岩田は)甘いかな」と答え注意するそぶりさえ見せなかった。 日米間の関係に溝が入らないのかと心配する声も聞こえ始めている http //www.cnn.co.jp/sports/CNN200905250025.html 10 名前:風吹けば名無し[] 投稿日:2009/05/26(火) 00 53 57.57 ID +Ahh4HfH まさか月野定規とはなwww 11 名前:風吹けば名無し[] 投稿日:2009/05/26(火) 00 54 12.06 ID 0IxfCgmE 長いけどなかなかいいな 12 名前:風吹けば名無し[sage] 投稿日:2009/05/26(火) 00 55 32.36 ID PqvqvUMz なかなか 13 名前:風吹けば名無し[] 投稿日:2009/05/26(火) 00 56 38.05 ID 3Eskp4ps 変態度 ★★★★☆ 基地外度 ★★★★★ 不謹慎度 ★★☆☆☆ 死亡度 ★★★☆☆ 通報度 ★★★☆☆ 小笠原度 ★★★★★ 総合評価 B+ 14 名前:風吹けば名無し[] 投稿日:2009/05/26(火) 00 57 39.34 ID TsJH+Fke 糖尿病の精子が甘いて話はほんとなのか? 15 名前:風吹けば名無し[] 投稿日:2009/05/26(火) 00 57 56.28 ID 4mT9GocU 詰め込む内容規定の全てをほぼクリアしてるし 逝遅漏選手のくだりは、事実発言と漢字の当て字など深い要素が見て取れる。 あの発言を覚えている人なら読めば読むほど味が出る内容。 https //live23.5ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1243266481/ 元ネタ:「プールでおしっこダメ」と注意も、フェルプスも経験あり? (CNN) 米疾病対策センター(CDC)は全米各地でプール開きがある戦没将兵追悼記念日(メモリアル・デー)の週末に向け、プール内で「おしっこ」しないようにとの注意を呼び掛けている。しかし、最近の統計では米国の成人のうち17%が「プール内でおしっこしたことある」と回答。競泳のスター選手、マイケル・フェルプス選手も、「経験ある」と応えていることがわかった。 CDCは、プール内に尿が入れば、目や呼吸器系を刺激し、目の腫れや咳、喉の痛みを誘発すると警告。保健衛生上の観点から、プール内でおしっこしないようにと注意している。 しかし、今年4─5月にかけて実施された調査では、米国の成人1000人のうち、17%が「プール内でおしっこしたことがある」と回答した。 さらに、昨年の北京五輪で史上最多の1大会8冠を達成したフェルプス選手が昨年、テレビ番組のインタビューで、「プール内でおしっこしたことがあるか?」と聞かれ、「イエス」と語っていた。 フェルプス選手はさらに、「どこの国の人が、一番プール内でおしっこしていると思うか?」と聞かれ、「たぶん米国人」と答えている。 https //web.archive.org/web/20090528103400/http //www.cnn.co.jp/sports/CNN200905250025.html
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お日様が暖かいので、昼食後に散歩することにした。 一人でぶらぶら歩くうちに、ふと見ると道の向こうからゆっくりがやってくる。 水色の髪の毛に、赤目と碧眼のオッドアイ。 それに、ミニチュアのビニール傘が、どういう原理かゆっくりの側をふよふよと浮遊していた。 見たことない種類のゆっくりだ。 ゆっくりは一瞬あとに俺に気づき、さもにこやかそうにすり寄ってきた。 そして、胸をふんぞり返らせ、 「びっくりしていってね!!!」 なんて言うか……そのかわいさにびっくりです…… ガシッ!!!!!!!!!!!! ギュー!!!!!!!!!!!! ナデナデハアハアナデナデハアハアナデナデハアハアナデナデハアハアナデナデハアハアナデナデハアハアナデナデハアハアナデナデハアハア ギュー!!!!!!!!!!!! ナデナデハアハアナデナデハアハアナデナデハアハアナデナデハアハアナデナデハアハアナデナデハアハアナデナデハアハアナデナデハアハア ギュー!!!!!!!!!!!! ナデナデハアハアナデナデハアハアナデナデハアハアナデナデハアハアナデナデハアハアナデナデハアハアナデナデハアハアナデナデハアハア 「……っくりしていってね!!!」 先ほどのゆっくりの声で我に返る。 どうやら俺は我を失っていたらしい。 「くるしいよ! はなしてね!」 ああ、ごめんごめん。 俺は力一杯ゆっくりにかましていたヘッドバッドを解放させた。 改めまして始めまして、こんにちは。 お互い呼吸を整える。 ゆっくりは、まだ自分の呼吸が荒いというのに話しかけてきた。 「おにいさん、こわかった?」 「うん。まあね」 自分の未知の部分が怖かったです。 すると、そのゆっくりは目を輝かせ、ぽよんぽよんと上下にはねて、とてもうれしそうだ。 「おにいさんはいいひとだね!」 そうしてゆっくりは、自分の使命を果たしたかのように、自分が元来た道を、本当にうれしそうにかえっていったのだった。 帰り際に、 「おにいさん、またね!!!」という言葉をのこして。 本当にかわいらしかったが、一体何だったんだろうか? 万年初心者 なでなでシーンから漂う犯罪臭がすごいなw -- 名無しさん (2009-09-13 22 09 12) 名前 コメント
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『初めて恋をした日に読む話』 出演者情報 役名 名前 年齢 身長 体重 B W H カップ 更新日 春見順子 深田恭子 39 163 50 86 62 88 E 2014/03/25 松岡美和 安達祐実 40 153 74 56 78 2011/09/14 もんちゃん 真凛 30 163 81 56 85 2014/08/29 牧瀬朋奈 高梨臨 32 166 47 83 62 86 2017/10/29 ゲスト 第4話(2019/2/5)ゲスト 役名 名前 年齢 身長 体重 B W H カップ 更新日 大塚さつき 神岡実希 21 155 73 55 81 2018/01/13
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恋人と呼ぶ前に地に堕とされた日 < > イドを目掛け弾けた焔 夜空を凍らせて 凛と蒼く別離(わかれ)の詩を (貴方/私)を地に堕とす… 遠い日の忘れ物 引き裂かれた傷痕 果たされぬ約束をその胸に宿して 避けられぬ終焉を 愛しい声が裏切る 抗えぬ衝動の闇が僕を包んだ… 嗚呼 歪む世界 螺旋の焔 輪廻を貫いて 凛と緋く血塗れくちづけ (貴方/私)を地に堕とす… 復讐の旋律を紡ぐ~ 屍を操った そう何度でも 嗚呼 月を抱いた十字の聖女 茨を捲きつけて 凛と白く最期の決意 (私/彼女)を地に堕とす… Marchen 愛する人を失った世界には どんな色の花が咲くのだろう? あの日2人出会わなければ 地に堕ちることもなかったけれど こんなにも深く誰かを愛することを 知らずに鳥籠の中 死なずに生きたでしょう コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る タイトルは「恋人と呼ぶ前に地に堕とされた日」だったと思うんですが… -- (名無しさん) 2011-01-15 23 41 39
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目次 目次 ストーリー実績報酬(√ED報酬) トロフィー報酬 ドロップ情報 イベントアイテム交換 小鳥のアトリエ(合成先) ストーリー実績報酬(√ED報酬) キャラクター 難易度 ルート 警戒レベル ストーリー実績 報酬 最速(再進化) 備考 √. 個 第話×回→再進化(消費バッテリー:) √. 個 第話×回→再進化(消費バッテリー:) トロフィー報酬 トロフィー名 条件 報酬 前提条件 備考 合成職人1 小鳥のアトリエで合成を10回する 240個 ドロップ情報 キャラクター 難易度 ルート シーン 警戒レベル 消費バッテリー エネミー 対象エネミー数 備考 ドロップ率(個/周) Moonクエスト 初級中級上級 曜日クエスト 4080120 162024 ハウンド 個個個 瑚太郎 Normal √4.テンミニッツアフター 第3話 66 19 8体 小鳥 Normal √5.路地裏キング 第6話第7話 8185 19 3体5体 篝 Normal √5.ゲッタウェイ、イノウェイ 第2話 57 19 3体 ルチア Normal √5.崩壊する世界で 第3.5話 112 19 3体 静流 Normal √6.恋文 第2.5話 109 19 3体 小鳥 Hard √1.芽吹く気持ち 第6話 62 18 5体 朱音 Hard √1.お帰りくださいませご主人様 第3話第7話 4767 18 3体3体 ちはや Hard √1.君と歩く街 第5話第6話 5862 18 3体3体 ルチア Hard √1.君と私は共犯者 第5.5話第6話 8062 18 3体3体 √. 第話 体 √. 第話 体 名前 コメント イベントアイテム交換 イベント名 開催期間 レート 交換回数 年月日:~年月日: 1個: 回 年月日:~年月日: 1個: 回 小鳥のアトリエ(合成先) アイテム 家具 メモリア プレゼント 素材 名前 コメント
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◆ 憂離れしよう!!そう決めたある夜の事 唯「うい~♪お風呂入ってきなよ♪」 憂「お姉ちゃんも一緒に入ろうよ♪」 いつもなら断りませんが今日は違います!!憂離れをすると決めた私の決意は固い!! 唯「うん!!!」 あれ? 断る筈だったのに…爽やかに了承してしまった…ここは前言を撤回して…いやいや… 憂「?」 憂が怪訝そうに見つめています。妹を心配させる訳にはいきません!! 唯「憂!!一緒に入ろう♪」 お風呂で憂の誘惑に耐える!!こちらの方が憂離れをするには最適の筈!!一緒のお風呂を断るよりも遥かにハイレベルな憂離れが出来る筈です。 唯「じゃあ、換えの下着用意するから憂、先に入ってて!!憂のも持ってくから♪」 憂「うん、分かった」 ちょっと焦っていたようなので下着を用意する時間で一旦落ち着く、完璧な作戦です。 ……さて、落ち着きました。心臓はいつも通りのビートを刻んでいます。ビートっていうと何か格好いい!! 憂「お姉ちゃん、まだー?」 唯「今行くよ憂♪」 うきうきが止まりません。これでは駄目です。私は憂離れをしなくてはいけないのです。 唯「お待たせー」 がらら、と風呂場のドアを開けると、一糸まとわぬ姿の憂が視界に入ってきました。 いけません。これはいけません。R-18です。綺麗な裸体には傷一つなく、それはそれは女神のような……。 唯「ふおおおおお……」 鼻息が荒くなってしまいました。 憂「どうかしたの? お姉ちゃん」 唯「う、ううんっ! 何でもないよ!」 おお、よだれがこぼれます。今すぐにでも憂を抱きしめたくなります。必死に気持ちを抑えます。私は憂から卒業しなきゃいけないのですから。 憂「お姉ちゃんの背中、洗ってあげるね♪」 にこやかにそう言う憂。憂離れ、という言葉が脳裏をよぎりますが、それより早く私は言っていました。 唯「そう? えへへ、悪いな~」 憂の存在を背後に感じます。憂フェロモンが私の背中から感じられます。 唯「や、優しくね……」 緊張で、変な声になってしまいました。なんでしょう。憂が近くにいるということを意識すると、頬が赤くなります。 ――私は憂から卒業するんだ!! 脱憂宣言!! 憂が私の肩に片手を置き、空いた方の手にタオルを握り、私の背中をこすってくれます。 やわらかい憂の手。こしこしと背中をこするタオル。背中越しに聞こえる憂の吐息。そのどれもが妖艶です。 憂「お姉ちゃんの背中大きいね~」 唯「そ、そうかな~、えへへ」 ふにょん。 おおっ。 憂の胸の感触です。俗に言う生乳です。憂っぱいです。これはもう……たまりません。 私は憂から離れなければいけないのです。 だって、私はこの春から一人暮らしを始めるのですから。N女の寮生活が始まります。 憂に甘えてばかりの生活は、出来なくなるのです……。 そのためにも、憂離れ。 なのに私は、憂と今も一緒にいます。憂の優しさを、肌で感じています。 これでは、駄目です。 憂は優しすぎます。 唯「う、憂、いいよ、もう」 冷たい言い方にならないよう意識します。 憂の背中をこする手が止まります。ぴちょん、と水の垂れる音が場違いに響きました。 憂「え、まだ終わってないよ?」 唯「ううん。大丈夫だよ、私一人で出来るよ」 笑顔を作ります。上手く笑えている自信はありません。それでも、憂を不安がらせないように笑い続けます。 憂「……そっか」 憂の手が肩から離れます。 唯「ありがとうね、憂」 私は、憂を卒業しなければならないのだ――。 そう自分に言い聞かせながら、私は一人で体を洗い始めます。 憂は湯船につかりながら、うつむいています。 声をかけていいのか分からず、結局、それ以降私たちの間に会話はありませんでした。 お風呂からあがります。 憂「お姉ちゃん、お茶いる?」 いつもなら、お茶いるって言って、持ってきてもらいます。 でも、私は憂から卒業しなければならないのです。 唯「ううん。いいよ、自分で持ってくるから」 憂「あ、私がするよ?」 唯「大丈夫だよ~、あ、憂の分まで持ってきたげるよ」 憂「お姉ちゃん……」 自分でいれて飲むお茶は、いつもと味が違いました。憂はおいしいよ、と言ってくれました。 ただ、私は寂しさを感じてしまいました。 翌日。 憂が朝ご飯を作ってくれました。ほかほかの白ご飯に、目玉焼き、たくあんとお味噌汁。いかにも日本の朝食です。 味は絶品です。ただの白ご飯ですら、とても美味しいのです。一級レストランのシェフも脱帽するでしょう。 でも、私は独立するのです!! 唯「あのさ、憂。明日からは私がご飯作るよ」 憂「えっ、ま、不味かった? ご飯」 唯「そんなことないよ!」 憂「じゃあ、どうして?」 ここで、憂から卒業するため! と言ってしまったら、憂は悲しむかもしれません。それは避けたい。 ここはナチュラルに嘘をつかなくてはいけません。 唯「た、たまには憂に御馳走したいんだ! ほら、いつも作ってもらってばっかりで悪いし、ね」 憂「そんなの、気にしなくてもいいのに」 唯「気にしちゃうよ」 だって、憂と過ごせる日々は、限られているのですから。 私には、憂離れとともに、もう一つ心に誓ったことがあります。 それは、憂に何か恩返しすること。 そして、憂を笑顔にさせてあげるのです。 憂「お姉ちゃん……」 寂しそうな目で憂が見てきます。 そんな目をしないでほしいと思いました。 私は憂を笑顔にしたいのです。憂の泣き顔なんか見たくありません。 昼食と夕食は、憂が作ってくれました。私が料理を作るのは『明日から』です。今日はセーフです!! 夕食のとき、これで憂のご飯を食べるのも最後なのかな、と思うと無性に悲しくなりました。 その日の憂との会話は、いつもより少なかったと思います。お風呂も一人ひとり別々に入りました。 私は、憂から卒業するのです。だから、これは仕方ないことなんだ……そう、自分に言い聞かせました。 さらに翌日――。 私は今日からご飯を作ります! ……と、奮い立ったものの、上手く出来ませんでした。これも仕方がありません。初めのうちは誰だって失敗します。 大切なのは、失敗から何かを学ぶことです。 ですが、昼食も失敗してしまいます。憂はおいしいと言ってくれますが、お世辞だと思います。 焦げ焦げの卵焼き、食べるたびにねちゃねちゃと音をたてるご飯、限りなくお湯に近いお味噌汁。これをおいしいというには、余りにも無理があります。 憂に心からおいしいと感じさせよう。 そう思って作った夕食も、やはり失敗してしまいました。炭の割合が多い焼き魚を、それでも憂はおいしいと言ってくれました。 憂は優しすぎます。だから、私は憂に甘えてしまうのです。 憂「私がご飯作るの手伝ってあげようか?」 唯「う、心配ないよ、つ、次はおいしいの作るから!」 その私の台詞に、憂は「そう……」と悲しそうにつぶやきました。 深夜。 私は忍び足でキッチンに向かいました。 料理の特訓をするのです。せめて、卵を割るとき殻が入らないように出来るくらいには上達しよう――。 卵を割ります。殻が入りました。取り除きます。目玉焼きを作ろう。フライパンを出して、油をひきます。 結果、完成した卵焼きは焦げ目たくさんでした。憂のように手際よくも作れません。 唯「……上手くいかないなあ」 完成品を胃袋に収めます。よし、もう一度チャレンジしよう――! そう思ったとき、階段を下りてくる音が聞こえました。 私はびくっとなって、立ちあがります。 憂が、いました。 唯「ど、どうしたの? 憂?」 憂「何か焼く音が聞こえたから……お姉ちゃんこそ、こんな時間にどうしたの?」 唯「私は……夜食が食べたくなってさ」 料理の特訓をする、と言うのは悔しくて、つい嘘をついてしまいます。 憂はじっと、私を見つめます。 憂「お姉ちゃん、嘘をつくの下手」 唯「え?」 憂「嘘をつくとき、いつもお姉ちゃん、左肩あげてるんだよ」 左肩に目をやります。やんぬるかな、左肩が確かに上がっています。憂の観察力はコナンにも勝るのではないでしょうか。 私は左肩を下げます。 唯「……これは、びっくりしたからだよ」 憂「また、上がってるよ」 左肩を見ます。ああ、まただ。わかりやすい体の作りをしているなあ、私。 憂「何しようとしていたの? お姉ちゃん」 唯「…………料理作るの、上手くなろうと特訓してた」 言うのはとても気恥かしかったです。 憂「そんなの……私に言ってくれれば手伝ったのに」 唯「だって、憂に言ったら、私は憂から卒業できないもん」 憂「卒業?」 しまった。言ってしまった。でも、ここで適当にはぐらかしても、憂はきっと追及してくるでしょう。そして私は嘘をついて、けどその嘘は簡単に見抜かれて……。 正直に言おう。私はそう思いました。 唯「そうだよ、卒業。私は……憂離れをしたいんだ」 憂「……どうして?」 唯「だって、私は一人暮らしを始めるから――憂に頼りっぱなしじゃ、私は何もできないままになっちゃうもん……」 憂「だからって、一人だけでご飯作ろうとしても、上達はしないよ」 唯「それは、別。私は……憂に何か恩返しをしようって、ご飯作ってるんだよ」 もうすべてを告白してしまいました。引き返せない――引き返す気なんて毛頭ありません。 憂「ねえ、お姉ちゃん。恩返ししてくれるなら、私のお願い一つ聞いてほしいな」 唯「お願いって?」 憂「お姉ちゃんのその特訓、手伝わせて」 唯「え、でも……」 憂「恩返ししてくれるんでしょ?」 唯「でも、いいの? もう深夜だし」 憂「いいよ、お姉ちゃん一人頑張ってるのに、私がそれを傍観してるなんて、出来ないよ」 憂は。 優しすぎます。 唯「…………ありがとう」 なぜか私は、泣いてしまいました。 憂が卵の割り方を教えてくれます。 憂が目玉焼きの作り方、その手本を見せてくれます。 憂が野菜の切り方を教えてくれます。 憂が切った野菜の盛り付け方を教えてくれます。 憂がスープの作り方を教えてくれます。 憂がおいしいご飯の炊き方を教えてくれます。 その間、ずっと憂は笑顔でした。 その笑顔は、私が憂に望んだ表情でした。 心からの笑顔。 ああ、そうか、憂は私と一緒のときに、笑顔を浮かべてくれるんだ――。 お風呂に入って行った時も、憂は笑顔を浮かべていました。 私が憂のそばにいること。 それが、この限られた日々の中で出来る、憂への恩返しなのではないでしょうか? 憂からの卒業は出来そうにありません。 憂は私と一緒にいることで、笑顔を浮かべてくれるのです。 憂離れする代わりに、憂の苦しそうな顔を見るなんて、耐えられるはずがないのです。 唯「ねえ、憂」 憂「なに? お姉ちゃん」 唯「ありがとうね、手伝ってくれて」 憂「えへへ、どういたしまして」 憂ははにかみます。私も、似た表情を浮かべます。 特訓が終わるころには、日が明けていました。 …………………………。 …………、私は目を覚ましました。キッチンで私と憂は寝ていたようです。 右肩が重い。何かが乗っているのだろうか、そう思い目だけで肩のあたりを見ると、憂の頭がちょこんと乗っかっていました。 憂は綺麗な寝顔を浮かべています。 唯「憂、ありがとうね」 言いながら、私は憂の頬をなでました。 そうだ、お腹が減った。ご飯を作ろう。憂の特訓の元、得たテクニックを駆使して、おいしい朝食を作るのだ。 そして、二人で食べよう。憂はきっと「おいしい」と言ってくれるはずです。お世辞とかじゃなく、本心で。 昼食も夕食も食べ終わったら、一緒に風呂に入るのです。今度は、私が憂の背中を流してあげよう。 今日一日の計画を胸に、私は隣で寝ている憂を起こすことにしました。 おしまい 4
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建築>エルフ>倉庫へ戻る 名前 レベル 前提 必要資源 時間 説明 金貨 木材 鉱石 硫黄 水銀 クリスタル 宝石 倉庫 1 各種のアイテムを保管することができます。レベルアップしたら、保管量が増やせます。倉庫 LV.1は6種類のアイテムを保管することができます。 倉庫 2 8種類のアイテムを保管することができます。 倉庫 3 10種類のアイテムを保管することができます。 倉庫 4 12種類のアイテムを保管することができます。 倉庫 5 市政庁 LV.5 10.024 362 292 223 153 84 56 00 45 00
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戻る 相変わらず安定の唯憂 -- (名無しさん) 2010-11-01 21 39 03 いいなあ -- (名無しさん) 2010-11-01 22 18 06 純はいいねえ -- (名無しさん) 2010-11-01 22 18 59 やるねー純さん。良かったよかった。 -- (通りすがり) 2010-11-01 22 36 30 こりゃ純ちゃんのキャラソンも決まるわけだ -- (名無しさん) 2010-11-01 23 11 19 純はもうモブやない、 準レギュラーや!! -- (名無しさん) 2010-11-02 00 48 09 唯なら純に言われなくてもわかりそうだが しかし他キャラが目立つ=唯がダメな子になるのは恒例になってきたな まあともあれ純はGJ -- (名無しさん) 2010-11-02 01 18 28 いい話だったわー!純いい仕事したな。 -- (真・けいおん厨) 2010-11-02 05 31 49 ↓↓まあ展開としてはそれが一番楽だからね。唯のキャラは人によって両極端なこと多いし 何にしても面白かった 純には今後も頑張っていただきたい -- (名無しさん) 2010-11-02 10 02 26 よーしよしよしよしよしw 純かわいいな -- (丼) 2010-11-02 20 44 00 あずにゃんの口調がwww -- (名無しさん) 2010-11-03 17 29 02 純頑張れ同意! あと唯駄目子概念もぶっ壊す作者現れろ! -- (名無しさん) 2010-11-05 22 49 20 純ちゃんいい子だ -- (あ) 2011-10-01 13 14 38 純と憂の関係はいいね。 純の気のまわし方はいい。 -- (名無しさん) 2015-11-25 21 40 46